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住宅は「買う」から「選ぶ」へ:暮らしの選択肢を広げる住まいの新常識

住宅価格の高騰、防犯ニーズの変化、若年層の減少、大学の統廃合など、私たちの暮らしを取り巻く社会環境は急速に変化しています。これまで「家は買うもの」とされてきた常識が、いま「選ぶもの」へと変わり始めています。不動産の価値観が、静かに、しかし確かに再定義されつつあるのです。

1. 住宅価格の高騰

2023年、首都圏の新築マンション平均価格は1戸あたり8,718万円(不動産経済研究所調べ)と過去最高を更新。都市部では1億円を超える物件も珍しくありません。

さらに、土地価格・建材費・人件費の上昇が、分譲戸建て住宅にも影響を与え、「マイホーム=手が届く」という時代は過去のものになりつつあります。

こうした背景から、多くの家庭が「購入可能な家を探す」のではなく、「自分たちに合った暮らしの形を選ぶ」思考へとシフトしています。資産としての住宅だけでなく、日々の暮らしの質を重視する動きが、不動産選びの基準を変え始めているのです。

2. 暮らしの価値観の転換

中古マンション市場でも、価格に見合った価値を感じられないという消費者の声が増加しています。高騰する物件価格に対して、「この設備でこの価格?」という疑問が購入をためらわせています。

一方で、地方の空き家や古民家をリノベーションして暮らすという、新たなライフスタイルが注目を集めています。利便性よりも、自分のライフスタイルや地域とのつながりを重視する傾向が強まり、SNSなどでも「再生住宅」や「空き家リノベ」といったキーワードが多く検索されるようになりました。

「住まいはスペックではなく、価値観で選ぶ」——そんな時代が訪れています。

3.人口減と防犯ニーズ

少子化により若年層の人口が減少し、地方大学の統廃合が進む中、学生向け賃貸市場も再編を迫られています。大学の撤退はその地域の賃貸需要だけでなく、商業施設やコミュニティの衰退も引き起こし、地域経済に影響を及ぼします。

さらに、2024年には重要犯罪(殺人・強盗など)の認知件数が増加。特に高齢者や単身者の増加にともない、防犯対策を重視する動きが強まっています。オートロック、監視カメラ、顔認証システムなど、住宅に求められる「安全性能」が購入や賃貸時の新たな判断軸となっています。

防犯意識の高まりは、「安心して暮らせる家を選ぶ」時代の到来を象徴しています。

まとめ

「家を持つ=人生のゴール」という価値観は、いまや大きく変わろうとしています。価格の高騰、人口の減少、防犯への関心の高まり、そして価値観の多様化——これらすべてが、住まい選びにおいて「所有」ではなく「選択」の視点を私たちに求めています。


これからの暮らしは、無理に“買う”のではなく、自分にとって最適な住まいを“選ぶ”という柔軟な発想が必要です。2025年、不動産市場における静かな転換点を、私たちはまさに目の当たりにしているのかもしれません。

文/1981+倶楽部編集部