旧耐震基準で建てられたマンションは危険?
地震大国日本において、マンションの耐震性が心配とお考えの方も多いのではないでしょうか。我が国では、数々の地震被害を経て建築基準法の改正がなされてきました。耐震性を判断するための一番のポイントは、旧耐震か新耐震です。(詳しくはこちら)
旧耐震物件は、大きな地震が想定されずに建てられているため、十分な耐震性が確保されているかどうか確認するためには、やはり耐震診断が必要ですね。とはいえ、旧耐震物件は必ずしも耐震性がNGかというと、そういうわけでもありません。旧耐震のマンションでも耐震性や安全性にお金をかけ、構造的にも工夫された建物も存在しています。
耐震基準に関係なく、構造的に地震に
強いマンション
ここでは、簡単に構造についてご紹介します。
・壁式構造
壁で建物を支える造りのものを「壁式構造」といいます。主に3階程度、4階以下の低層マンションに採用される構造です。メリットは揺れに強く、かつ低層であることで重心が低くなるため非常に耐震性が高いと言われています。旧耐震物件でも、耐震性が十分と診断される建物が存在します。デメリットは、リフォームの際に自由度が低くなることです。壁で建物を支えているため壁の取壊が困難であり、もともとの間取りを生かすしかありません。また、低層に限定されるため眺望を気にする方には向かない可能性があります。
・ラーメン構造
ラーメン構造とは、垂直方向の「柱」と水平方向で柱をつなぐ「梁」によって建物を支える構造をいいます。5階以上の建物の場合、ラーメン構造のものがほとんどです。この場合、RC(鉄筋コンクリート)造よりもSRC(鉄筋鉄骨コンクリート造)の方が耐震性が高いといわれています。柱で支える構造のため、リフォーム時に必要でない壁を撤去することができ、自由度が向上することがメリットです。デメリットとしては、柱や梁などのサイズが大きくなりがちで、室内に凹凸ができてしまうことや建築部材のコストが高くなりがちになることが挙げられます。柱と梁だけですべての荷重に耐えねばならず、それぞれの部材が大きくなってしまうことがあるからです。

どこで見分けたらいいの?
上記のような構造については、販売サイトやチラシなどには記載されていないことが多いため、図面などで判断するか、問い合わせをして確認することが必要となります。簡単な判断基準としては、部屋の四隅に柱が出っ張っているかどうかです。ラーメン構造であれば柱が四角く出っ張っており、壁式構造ではそれがありません。また、壁式構造の場合5階建て以上のマンションはほとんどなく、高くて4階、大半のものが3階建て以下です。RC(鉄筋コンクリート)造なのかSRC(鉄筋鉄骨コンクリート造)なのかという情報は販売サイトやチラシに記載されていることが多いため、合わせて確認しておきましょう。

構造だけじゃない。メンテナンス具合も
重要!
これまでにお話をした「構造」以外にも重要なことがあります。それは、メンテナンスが行き届いているかどうかです。特にコンクリートの品質は当然ながら耐震性に大きな影響を与えます。コンクリートは、空気中の二酸化炭素や風雨の影響により劣化が進みます。コンクリートの劣化が進むと、内部の鉄筋に腐敗やひび割れ、爆裂などを引き起こします。定期的に外壁の補修や塗装が施されていたり、屋上の防水がしっかりしていれば、これらのような劣化をかなり食い止めることができます。これらの見極めは管理会社や管理組合がしっかりとした定期メンテナンスを行っているかどうかや、実際のマンションの状態を目視確認することで判断していきましょう。

まとめ
旧耐震物件の中にも、色々な要因により地震に強い建物、弱い建物が存在します。地震大国日本において、知っておきたい重要な知識です。実際に耐震診断を実施して耐震性を数値化することも有効です。時代の流れとともに「耐震」に対する考え方や技術は日々進化しています。旧耐震物件でお悩みの方はぜひ一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。様々な価格が高騰する現代において、古くても使えるものはしっかり補修して使っていく。そのような時代に移って行くのではないでしょうか。
文/横田 享(1981+運営事務局)