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もっと教えて耐震博士

耐えるから、受け止めるへ。収震で変わる建物の強さ

耐えるから、受け止めるへ。収震で変わる建物の強さ

近年、建物の安全性を高める新しい地震対策として注目されている「収震(しゅうしん)」。
「耐震や制震とは何が違うの?」「どんな工法があるの?」「実際にどのくらい効果があるの?」といったご質問をよくいただきます。
名前は聞いたことがあっても、その仕組みや効果についてはあまり知られていない“収震”。
今回は“耐震博士”が、そんな収震に関する代表的な3つの疑問にお答えします。

Q1. 収震って、耐震や制震と何が違うんですか?

耐震というのは地震に耐えられるよう建物そのものの強さを高める方法です。この場合、建物は地震が発生した時に倒壊・崩壊する可能性は低くなりますが、局所的に大きな力が発生するため、どこかに損傷が発生する可能性は高いです。
それに対して制震は補強により設置した制振装置に地震の力を吸収させることで、建物本体に入ってくる地震の力を小さくするため、揺れ自体が小さくなったり、損傷も抑えることができます。
収震については制震と異なりあらたな部材を入れるわけではなく、建物そのものの柱や壁部材に地震の力を吸収できるような性能を持たせてやることで、建物がより自然に変形し安定した挙動が起こるようになります。


Q2. SRF工法ってどんな特徴がありますか?

モルタルや塗装の上からでも施工が可能なので、工事期間やコストを抑えることができます。
また基本的にはシートを貼るだけの工事なので、騒音や振動は発生せず、居ながら工事も可能です。
通常の炭素繊維シートだとエポキシ系の接着剤を使用するので、臭い等の問題もありますが、SRF工法ではウレタン系の接着剤を使用するので臭いは発生しません。

Q3. 実際に地震が起きたとき、どのくらい効果があるんですか?

鉄筋コンクリート造の実物大の試験体を用いて行われた実験において、震度7の地震波を繰り返し加えたところ、補強を行っていない柱については4回目の地震波で柱が大破してしまったのに対し、SRF工法にて補強を行った柱については7回地震波を与えた後においても安定した挙動を示し、最後まで崩壊することはなかったというデータがあります。
過去にSRF工法にて補強した建物において東日本大震災や熊本地震にて被災した建物が多数ありますが、いずれも大きな被害はなかったという報告があります。

まとめ

収震は、建物そのものに「しなやかに揺れを受け止める力」を持たせる新しい発想の補強技術です。
SRF工法のような収震補強を行うことで、建物全体の変形性能を高め、震度7クラスの大地震においても崩壊を防ぐ効果が実証されています。
部材を増やさず、居ながら施工も可能なことから、既存建物の耐震性を高めたい方にとって非常に有効な選択肢といえるでしょう。

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