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もっと教えて耐震博士

建物補強のリアル ― 工期・コスト・工法のホントのところ

建物補強のリアル ― 工期・コスト・工法のホントのところ

補強工事については、オーナー様や管理組合の方から「工事の期間や営業への影響」「入居者がいる状態での工事の可否」「費用の相場」「木造と鉄筋コンクリートでの工法の違い」「補強後の見た目」など、実に多くのご質問をいただきます。
その中でも特に多いのが、「工事にかかる期間と営業への影響」「費用の相場」「工法や仕上がりに関する疑問」です。

今回は“耐震博士”が、この3つの代表的な疑問にお答えします。

Q1. 工事って何日くらいかかりますか?営業を止めずにできますか?

補強の内容によって幅はありますが、工事期間は数週間から数か月程度となります。
補強を行うにはまず足場や養生などの仮設工事から仕上げの撤去が必要で、補強を行った後にも仕上げの復旧工事等が発生します。
このため工事を行う範囲によって期間に大きな差が出ます。
昼間のみの営業であれば夜間工事とすることで営業を止めずに工事を行うことも可能です。
ただし工事コストは上がってしまうこと、騒音等近隣対策が必要であることに注意は必要です。

Q2. 費用が高そうで不安です。どのくらいが相場ですか?

建物の構造や規模、補強方法によってかなり開きがあります。
木造の建物であれば数十万円から数百万円程度ですが、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートの建物だと数百万円から数千万円程度となることが多いです。
10階建を超えるような建物だと数億円かかってしまうこともあります。

Q3. 木造と鉄筋コンクリートで、収震の工法は違いますか?

収震の考え方は同じですが、補強をする箇所が異なってきます。木造については柱や梁などの木部材自体には靭性能があるものの、コンクリートの基礎や金物で固定した接合部が早期に破壊してしまうことが多いです。
このため基礎や接合部をシートで補強することで収震性能を確保します。
一方で鉄筋コンクリート造では柱や壁が重要な耐力要素となるため、壁に直接シートを貼ったり、柱の周りをシートで巻くことで収震性能を確保します。

まとめ

補強工事は「どれくらいの期間がかかるのか」「費用はいくらかかるのか」「工法や見た目はどう変わるのか」といった点が特に気になる部分です。
実際には建物の構造や規模によって答えが大きく変わるため、まずは自分の建物の状況を把握することが第一歩となります。

疑問をひとつひとつ整理し、専門家に相談しながら最適な方法を選ぶことで、安心して補強計画を進めることができます。

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