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補強する?しない?建物オーナーが知っておきたい3つの疑問

補強する?しない?建物オーナーが知っておきたい3つの疑問

集合住宅やマンションのオーナー様、管理組合の方からよく寄せられるのが、
「古い建物は補強が必要なのか?」
「旧耐震でも安全な建物はあるのか?」
「できれば補強せずに済む方法はないのか?」
といったご相談です。

確かに、補強工事は大きな費用もかかりますし、できれば避けたいという気持ちは自然なこと。
しかし実際の地震被害のデータや診断方法を踏まえると、建物の状態によって答えは大きく変わります。

そこで今回は、皆さんが特に気になっている3つの疑問に答えていきます。

Q1. 建物が古いんですが、補強って絶対必要ですか?

旧耐震の建物だからといって大地震が発生した際に絶対に倒壊・崩壊するかというと、そういう訳ではありません。
しかしながら1995年に発生した阪神・淡路大震災において、昭和57年以降に建てられた新耐震建物150棟の内、倒壊・崩壊した棟数が5棟(3%)だったのに対して、昭和56年以前に建てられた旧耐震建物773棟の内、倒壊・崩壊した棟数は105棟(14%)と大きく割合が異なります。
さらに倒壊・崩壊には至らずとも大破や中・小破した建物まで含めると、新耐震建物が30%未満だったのに対して、旧耐震建物ではなんと60%以上となっております。
実際には中・小破であっても補修・補強を行わないと建物を継続して使用することはできませんので、あらかじめ地震に備えて補強を行っておくことは重要と言えますね。

Q2. 補強されていない旧耐震物件でも安全な物件はありますか?

旧耐震であっても補強が不要となるケースは稀にあります。
耐震壁という壁がバランス良く多数配置されている建物であったり、柱の中に鉄骨や鉄筋がたくさん入っている建物だと耐震診断においても良い結果が得られます。
しかしながら壁や鉄骨、鉄筋を増やすことは工事費の増加につながるので、当時の基準を最低限満たすレベルに抑えられていることが多く、かなり稀なケースと言えます。
法律改正の境目となる1981年に近い年代に建てられた建物だと新耐震に合わせた基準で設計されていることもありますので、そのケースだと補強が不要となることもあります。

Q3. 補強せずに済む方法はありませんか?

耐震性能値を満たさない建物については基本的に補強が必要となります。
しかしブレースや壁を増設することだけが耐震性能の向上につながるわけではありません。
屋上に設置された高架水槽を書下階に移動させたり、マシンルームレスのエレベーターに変更することで塔屋をなくしたり、建物の重量を減らすことも建物の耐震化につながります。
建物の使用状況などを鑑みて総合的に判断することがコストを抑えることに繋がります。

まとめ

旧耐震建物は被害のリスクが高いため、基本的には補強を行うことが望ましいですが、稀に補強不要のケースもあります。
まずは耐震診断を受け、自分の物件の状態を把握することが重要です。
そのうえで、補強や重量軽減など最適な方法を選び、コストと安全性のバランスを取ることが求められます。

1981+倶楽部では、耐震診断に関する情報提供や専門家とのつながり、旧耐震物件の再生・流通に関する知見を共有し、安心できる選択を後押ししています。
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